ドイツのゲーミングデバイスメーカー、COUGARのキーボード、VANTARを購入しました。
https://cougargaming.com/products/keyboards/vantar/
https://twitter.com/cougargaming_jp
巷にはキーボードが死ぬほど存在しています。
最高峰に属するものの一つにREALFORCEシリーズなどが挙げられます。
またメカニカル式においては、茶軸、赤軸といった製品のキースイッチの種類なども一般に知識として浸透し、かなり個人の好みに沿ったラインナップが揃っていると言えると思います。
そう、メカニカル式。良いキーボードと言われるものって、ほとんどメカニカル式なんですよね。
メカニカル式、キーが分厚すぎて、叩いているとむちゃくちゃに指に引っかかって邪魔。こちとらノートPCの打鍵音で胎教を受けとるんじゃ。まともなパンタグラフ式のやつをよこさんかい。
と、いうわけで今回はいい感じのパンタグラフ式のキーボードの紹介です。
目次
前座
製品を探してみると、本当に数が少ない。パンタグラフ式はキーの厚さが非常に薄いのでノートPCや2 in 1 PCなどの付属キーボードに採用されていますが、独立したひとつのキーボードとして売っている製品のラインナップはかなり少ないと言えます。
またパンタグラフ式はやはりその形状、特性から持ち運びのためのモデルに用いられることが多く、テンキーが付いていないことが多い。自宅で使用する上でそれはちょっと看過しがたいので、これも選定を難しくしたポイントの一つでした。
選定ポイント
キーボードを選ぶ時には打鍵感がとにかく大事ですが、それはメカニカル式でいうキースイッチの問題に直結しています。
私もこれまで使っていたキーボードはメカニカル式で、オウルテックの赤軸の製品(109キー)でした。
ただこのキーボードを選んだ時は比較対象がなく、とりあえず新しいキーボードを使ってみたい!という欲求でしか選択しておらず、メカニカル式を試す気持ちが強かったのを覚えています。
正確にはノートPCをデスクトップPCに買い替えた時なので、パンタグラフ式からメカニカル式に買い替えたわけですが(そしてそれをまたパンタグラフ式に戻したのですが)。
今回は5年使ったものから切り替えることになり、また色々なキーボードに触れる経験もしてきたので、なんとなくどこに違和感があると使いにくいのか、逆にどこが便利ならストレスフリーなのかが分かってきていました。
ざっくりと列挙するとこんな感じです。
・パンタグラフ式(シザー式)であること(キーストロークが浅いこと)
・(左側で)Ctrl・Win・Altキーと並んでいること
・テンキーがあること
・アイソレーションキーボードであること
・キーピッチはフルサイズモデルと同等(18 ~20mm)
・JIS配列
キーボードを叩くのが超ヘタなので、アイソレーション設計じゃないと打ちたいキーの3倍くらい入力することになります。
US配列のキーボードも使ったことがあるのですが、私はわざわざ選ぶ必要はないなという結論に至っています。
加えて経験上、特に左側のCtrl、Win、Altキーの配置については気にしていました。
私の知っている限り、PanasonicのLet’s noteのキーボードがCtrlキーの左隣(つまり左端)にFnキーを置いている狂気のデザインとなっており、こういった細かいキー配置を考慮せずに選んでしまうとそれまでの慣れと戦う必要が生じます。
できれば無用な戦いは避けたいので、まずは配置がほぼ同じかどうか。と言っても私が今回色々探した限り、テンキー付きモデルでそういった配置をしているものは見かけませんでした。ノート用だとちょこちょこあるみたいですね。
上記の条件を汲んでいくと、108キー、もしくはこれまで使っていたものと同じ109キーの製品が候補筆頭ということになります。
今自分の使っている製品のキー数を数えてから選定し始めると候補が絞りやすくてよいと思います。
また、それぞれのキーのサイズも考慮する必要があります。
この後の節で触れていますが、よく使うキーのサイズに違和感があるとストレスが溜まります。
普段使うソフトウェアのショートカットキーなどがそれぞれ異なるので一概には言えませんが、少なくともBackSpaceキー(BSキー)やEnterキー、Spaceキーは誰でも使います。既に配置のところで話をしていますが、Ctrlキー、Altキー、Shiftキーもショートカットに頻出します。
ファンクションキーはよく使うものとそうでないものの差が大きいと個人的には思いますが、例えばF2はリネームですし、F5は言わずと知れたリロード、F9の入力した文字の全角切り替えはよく使っています。なんにせよ小さすぎると不便なことには間違いありません。
COUGAR VANTARの魅力的な点
COUGARのVANTARは超薄型のパンタグラフ機構を採用しつつも、フルサイズのキーボード(JIS 108キー)となっており、なおかつアイソレーションキーボードです。
この1行だけでかなり「求めていたもの」感が強いのですが、具体的によい点を記載していきましょう。
・Spaceキーがマジでデカい
圧巻のサイズです。なんと実測で10cm弱あります。これはUS配列のキーボードではよくありそうなサイズですが、JIS配列のものとしては無茶苦茶に大きいと思います。108キーである利点を最大限活かしていると思います。Winキー、使わんしな。
・BackSpaceキーが他のキーより少し大きい
これも地味によいところだと思います。結構メカニカル式のキーボードでもBSキーは他の文字入力のキーとサイズが同じということが多いですが、VANTARでは若干大きくデザインされています。
・ゲーミングキーボードならではのカーソルキーのサイズ
さっきからキーのサイズの話ばかりしていますがしょうがない。カーソルキー(矢印キー)のサイズも他のキーに比べて大きめです。
ここについても他のフルサイズキーボードでは通常サイズとして扱われることが多かったり、テンキーレスモデルでは更に小さいキーにされていたりするので評価が高いです。
・キー自体の厚みが非常に薄い
これまで使ってきたパンタグラフ式のキーには、キー自体の厚みが合わないものがありました(つまりキーストロークが若干深め)。
例えばLogicoolのK811とか。US配列で、当時持ち運び用のBTキーボードを探していた時に友人に勧められて購入したのですが、パンタグラフ式の割にキーが少し厚く、そんなにしっくりこなかったことをよく覚えています。よく覚えていますというか、今も手元にあるのですが。
VANTARのキーは私が想像していた薄さのキーでした。これは好みなので誰にでも勧められる点ではないのですが、個人的には満足しています。
※薄さの好みの指標に使えるのか分かりませんが、MacBookに採用されているバタフライキーボードの評判はすこぶる悪いですが、私は結構好みです。とはいえさすがにキーストロークなさすぎだとは思いましたけど。
・打鍵音は静かめ
決して静音と言えるほど静かではないと思いますが、これまで使っていた赤軸のキーボードに比べれば静かです。
最近ボイスチャットをすることも増えたので、これは意外とメリットを受けているかもしれません。
・ヘアライン加工はカッコいい
デザイン面の話ですが、本体がヘアライン加工がされており好みです。ただデザイン全体としてはイマイチです。
これは次の章にもう少し詳しく書きたいと思います。
キーサイズがかなり高評価です。
ゲーミングとは謳っていますが、パンタグラフ式の方が好みであればゲーム用途でなくとも使い勝手がよいと思います。そもそもゲームで使うキー、そこまで多くないし(ゲームによります)。
COUGAR VANTARのイマイチな点
先程までべた褒めでしたが、やはり気に入らない部分も多少はあります。
ただ、実際に入力に躓くような点はほぼなく、全体的にキーボードとして満足していることは確かです。
・無変換キーがAltキーより大きい
これは好みの問題かと思いますが、左側のAltキーの右隣に無変換キーが配置されていますが、これがAltキーより若干ですが大きいです。
私は無変換キーをほとんど使わないので、ここは不満点の一つです。私はカタカナを入力するときはF7かF8を叩く派だからでしょうか。
・ESCキーが小さい
何かとキャンセルしたりする時にESCキーを叩きがちなのですが、これのサイズがファンクションキーと同じサイズになっており叩きにくいです。
せめてF1との間を埋めるほど幅広であれば…と思うのですが、願いは虚しく1キー分のサイズとなっています。
・刻印が透明(バックライトで光る)のため、バックライトをオフにすると見づらい
今となってはブラインドタッチを習得しているのであまり問題はないのですが、刻印が印刷ではなく、バックライトを光らせることを前提としたデザインになっています。
もちろん別に視認が困難なほど見づらいわけではありませんが、サッと確認したい時に困るかな、というシーンはあります。特に夜、家の照明だけで過ごしているタイミングなど。
なんでゲーミングキーボードって全部光るんでしょうか…。
・ぶっちゃけイルミネーションはそんなにカッコよくない
ゲーミングキーボードと言えばRAZERやSteelseries、Corsairなどが浮かびますが、それらに比べるとあまりキレイではない気がしています。
値段がものすごく高いわけではないので、これはこんなもんかという感じです。
・プラスチック部分がダサい
上の部分と繋がりますが、光っている分にはそこそこなのです。
光っていないとかなりチープに見えます。特にそのLEDライトを通す部分が。
プラスチックになっているのですが、キーボードに白枠が出来てしまうので見栄えが悪いのでしょう。
これもまあ…しょうがないのかなと思うのですが、光らないとここまでダサいならいっそ光らないモデルで出してほしいな、という思いはあります。良いところに挙げたヘアライン加工は悪くないので、全部これで黒に統一したモデルがあってもいいのでは?と考えてしまいます。
どちらかというとデザイン面でちょっとな、ということが多いですね。
それを無視すればあまり大きな不満は出てきません。
購入前の検討製品
ここまではVANTARそのものの話をしてきましたが、これに行き着くまでに何を選んでいたのか?という話をして記事を締めたいと思います。
記事の最初の方にも書きましたが、わざわざ選んで買いたくなるパンタグラフ式のキーボードはかなり少なく、良さげなものであってもUS配列であることが多いです。
選ばなかった理由と一緒に記載しましたので、同じように迷えるパンタグラファー(誰?)は参考にしていただければと思います。
Apple – Magic Keyboard テンキー付きモデル
Macもたまに触るのでMagic Keyboardの打鍵感は知っていました。そしてそれが好みに沿っていることもよく分かっていました。
が、私が普段使っているPCはWindowsです。別にMagic KeyboardはWinでも使えるらしいですが、細かい不満が多そうだなと判断して今回は見送りました。打鍵感だけで言えばこれ一択だったと言っても過言ではない。
Microsoft – Surface Keyboard
https://www.microsoft.com/ja-jp/p/surface-キーボード/8r3rqvvflp4k
おっいいじゃん、と一瞬なるのですが、JIS配列のモデルはEnterキーとBSキーが小さすぎ問題。
Enterキーは百歩譲っていいとして、BSキーがヤバすぎる。文字入力をする通常のキーよりもなぜ小さいのか。
また、Print ScreenがBSキーの上に存在していて、なおかつそっちの方が幅広というのもよくわからない。見た目はいいのですが、細部において独自性を出しすぎており、これに慣れる必要性を感じなかったので選択せず。初めて使うキーボードがこれなら別にいいかもしれません。ただ、これ以外のキーボードを触った時にしんどそう。
Logicool – CRAFT
最後まで選択肢に残っていたものです。
安心と信頼のLogicoolにもフルサイズのパンタグラフキーボードがあります。が、信頼されているだけあってお値段も信頼価格です。
CRAFTについては、ESCキーが大きいのが個人的にはかなり評価高いです。しょっちゅう使ってるので。
配列やキーサイズもかなりちょうどよくさすがだなあと思ったのですが、CRAFTを見た後に見つけたVANTARと比較しここまでお金を出す必要は感じなかったので今回は見送りました。
お金にとても余裕があったらこっちを買っていたかもしれません。
この他にBAFFALOやサンワサプライなどの無難な選択肢も色々と見ましたが、せっかく買うならちょっと無難なところからは逸れるか、ということでCOUGARのVANTARに決めました。
終わりに
キーボードを選ぶのは難しいです。
買おうと思えば1,000円で買えるし、こだわり始めるとウン万かかります。
今では自作する人も多いらしいし、混沌を極めています。
結局人はREALFORCEに行き着くのか、果たしてそうでないのかまだ分からないのですが、PCとこれからも付き合っていく以上、ずっと考えていかなければいけないデバイスの一つなのだと思います。
VANTARは完璧なキーボードではありませんが、私個人のニーズをかなりの部分で満たしてくれるキーボードです。ぜひ一度、この新型コロナウイルスの災禍が収まった折には、平和になったPCショップで触ってみることをオススメします。
というか、そんなに高くないからえいやっと買ってしまうのもよいと思います。